好きとか愛とか

寄せ集めのただの、ごっこじゃないか。
私はずっと母と二人でよかったのだ。
誰かの比較対照でなかった自分がよかった。
あの頃のままが、よかったのに。

 「特進はどう?勉強スケジュールきつい?」

さっきのでこれ以上の会話は皆無であることを伝えたはずなのに、壱矢からはまた声がかけられた。

 「……特には」

おかげさまで勉強する時間だけはたっぷりあるもので。
集中力を高めてもらったことには感謝、といった感じ?

壱矢と私は同じ高校だ。
本当はすごく嫌で、滑り止めに通いたかったのだが親がそれを許してくれなかった。
今の高校受験も、無駄に上がってしまった学力が勿体ないからという理由で受験したのだ。
学校でくらい、この家族の域から出たかったのに。
だけど学費を出してもらう以上わがままも言えず、普通科の壱矢とは棟も学年も違っていて一年だけしか同じ学校へ通う必要がないという事から、私も踏ん切りをつけた。
つけるしか、無かった。

 「壱の話は三年までとどいてる。美人で綺麗な子だって。いつも真面目だし芯が強そうでかっこいいって男どもが言ってた」

冷蔵庫から弁当を取り出す手が止まる。
なに?
私の話?