ブラウスのボタンに指が触れる。
一つづつ、確認するように外されていく。
きつく目を閉じ、唇を噛み締めた。
“傷つけるな”
唇を噛んだ直後、頭の中に以前壱矢に言われたことがよみがえった。
こんなときにどうして壱矢の声がするのか自分でも分からなかったが、それがきっかけとなって自分の口が動かせることに気が付く。
「ぃ…いち…」
助けてほしいと叫ぶ代わりに、出てきた名前は、
「壱矢ぁぁぁぁぁぁっ!!!」
彼のものだった。
私自身出したことのないほどの大声が辺り一面に響き渡った。
突然出した私の大声に驚いた男が、大きく体をびくつかせて目を見開く。
それから持っていたカッターを、顎の下に押し当てた。
皮膚にめり込んだカッターの先が、チリッとした痛みを走らせた。
「黙ろうね?ね?」
殺意にも似た意識が向けられ、もう駄目だと諦めた───
「そこで何してるの!!?」
林のざわめきに混ざって、つんざくような女性の声が轟く。
弾かれたように私から離れた男が声の方へ振り返ると、私を突き飛ばしてその場から逃走する。
放り出された私は少し飛んでしまい、近くにあった木の幹に後頭部から背中にかけてを強打した。
「っんっ!」
呻き声が口から漏れ、その場にずるずる倒れ混んでしまった。
打ち付けられた場所とカッターがめり込んだ肌に、それぞれ違う痛みが走った。
「大丈夫!?」
言いながら私に近付いてきたのは、険しい顔をした婦警さんだった。
「巡査長!」
後から追いかけてきたのは、警察官らしい男性。
ただ、男というだけで、私の体は無意識に反応して震えてしまった。
一つづつ、確認するように外されていく。
きつく目を閉じ、唇を噛み締めた。
“傷つけるな”
唇を噛んだ直後、頭の中に以前壱矢に言われたことがよみがえった。
こんなときにどうして壱矢の声がするのか自分でも分からなかったが、それがきっかけとなって自分の口が動かせることに気が付く。
「ぃ…いち…」
助けてほしいと叫ぶ代わりに、出てきた名前は、
「壱矢ぁぁぁぁぁぁっ!!!」
彼のものだった。
私自身出したことのないほどの大声が辺り一面に響き渡った。
突然出した私の大声に驚いた男が、大きく体をびくつかせて目を見開く。
それから持っていたカッターを、顎の下に押し当てた。
皮膚にめり込んだカッターの先が、チリッとした痛みを走らせた。
「黙ろうね?ね?」
殺意にも似た意識が向けられ、もう駄目だと諦めた───
「そこで何してるの!!?」
林のざわめきに混ざって、つんざくような女性の声が轟く。
弾かれたように私から離れた男が声の方へ振り返ると、私を突き飛ばしてその場から逃走する。
放り出された私は少し飛んでしまい、近くにあった木の幹に後頭部から背中にかけてを強打した。
「っんっ!」
呻き声が口から漏れ、その場にずるずる倒れ混んでしまった。
打ち付けられた場所とカッターがめり込んだ肌に、それぞれ違う痛みが走った。
「大丈夫!?」
言いながら私に近付いてきたのは、険しい顔をした婦警さんだった。
「巡査長!」
後から追いかけてきたのは、警察官らしい男性。
ただ、男というだけで、私の体は無意識に反応して震えてしまった。

