実際はどうなんだろう。
このまま拉致されて辱しめを受けたとして、それは命を落とすより無事でよかったと言えるのだろうか。
無事ではないのに、命が助かったと喜んで生きていけるものなのか…。
でも、もしかしたら、ここで私に何かあったら、お母さんは私を───
とんでもない考えが頭を過り、刃物を見たときより血の気が引いた私は慌ててその馬鹿な考えを振り払った。
私は今、一体、なにと比べて、何と引き換えに何を得ようとした?
浅ましさに吐き気がする。
この男の笑っていない笑顔より、胸くそ悪かった。
腰に腕を回され、刃物を突きつけられ、身動きできなくなってしまった私は男が誘導するまま従わされる。
自分で歩いているのに、歩いている感覚がない。
怖い、恐怖なんて言う言葉では言い表せない感情が、体の中を駆け巡っていく。
というより、自分がどんな感情なのかを把握する余裕など全くなかった。
けれど、この後起こることがどんなものなのか、それへの絶望だけははっきり感じた。
「それ、あの進学校の制服だよね?」
林の中へ連れていかれ、太い木に押し付けられる。
さっきまでの好青年な爽やかさはどこへ行ってしまったのか、今は完全にイってしまった変質者のごとく目が血走っている。
普段は長好青年の爽やか系にしか見えないこの男が、こんなことをするなんて誰が思うだろう。
こいつが最近出没している変質者だとしたら、そりゃ捕まえるのも苦労するだろうと思った。
このまま拉致されて辱しめを受けたとして、それは命を落とすより無事でよかったと言えるのだろうか。
無事ではないのに、命が助かったと喜んで生きていけるものなのか…。
でも、もしかしたら、ここで私に何かあったら、お母さんは私を───
とんでもない考えが頭を過り、刃物を見たときより血の気が引いた私は慌ててその馬鹿な考えを振り払った。
私は今、一体、なにと比べて、何と引き換えに何を得ようとした?
浅ましさに吐き気がする。
この男の笑っていない笑顔より、胸くそ悪かった。
腰に腕を回され、刃物を突きつけられ、身動きできなくなってしまった私は男が誘導するまま従わされる。
自分で歩いているのに、歩いている感覚がない。
怖い、恐怖なんて言う言葉では言い表せない感情が、体の中を駆け巡っていく。
というより、自分がどんな感情なのかを把握する余裕など全くなかった。
けれど、この後起こることがどんなものなのか、それへの絶望だけははっきり感じた。
「それ、あの進学校の制服だよね?」
林の中へ連れていかれ、太い木に押し付けられる。
さっきまでの好青年な爽やかさはどこへ行ってしまったのか、今は完全にイってしまった変質者のごとく目が血走っている。
普段は長好青年の爽やか系にしか見えないこの男が、こんなことをするなんて誰が思うだろう。
こいつが最近出没している変質者だとしたら、そりゃ捕まえるのも苦労するだろうと思った。

