塀に背中を預け、辺りを見回してみる。
まだ迎えの保護者は誰も来ていない。
時計を見ても、三時十五分。
当たり前だ、早すぎた。
うろうろするには土地勘もなく、だからといってがっつり勉強できる状態でもないため、単語帳で時間を潰すことにした。
高台でちょうどいい風が吹いているので、気分よく単語が覚えられそうだ。
さわさわ木々が揺れ、時おり制服の薄いリボンも踊る。
膝より少し上に調整されたスカートの裾が、軽快に風を含んではためいた。
髪の先が頬に触れるのがくすぐったい。
一つ目の単語帳がそろそろ終わりに差し掛かったとき、バス停とは反対の林の方から誰かが近付いてくるのが見えた。
時計を見るとついてから十分ほどか経っていて、保護者がそろそろ集まる時刻となっていた。
かっちりスーツを着たビジネスマン風の男性が、私の隣で立ち止まる。
「妹さんのお迎えかな?」
穏やかな口調で尋ねられ、そちらを向くと端正な顔立ちが私に微笑んでいた。
いかにも好青年。
やけに白い並びの良い歯が、強く印象に残る。
爽やかな風かよく似合う男性の黒髪はさらさらで、天使の輪っかが浮かんでいる。
細身のメガネが知的に見えた。
「はい」
それだけ答えてまた単語帳へ目を移す。
車の音がしてそちらへ視線だけを飛ばすと、保護者らしい高級車が止まった。
授業が終わるまで後十五分近く。
二冊目に行こうかこのまま一冊目を繰り返そうか思案したとき、カチリと小さな音が聞こえた。
何かと思って顔を上げると、いつの間に近付いていたのか、ビジネスマン風の男性が至近距離まで近付いていた。
まだ迎えの保護者は誰も来ていない。
時計を見ても、三時十五分。
当たり前だ、早すぎた。
うろうろするには土地勘もなく、だからといってがっつり勉強できる状態でもないため、単語帳で時間を潰すことにした。
高台でちょうどいい風が吹いているので、気分よく単語が覚えられそうだ。
さわさわ木々が揺れ、時おり制服の薄いリボンも踊る。
膝より少し上に調整されたスカートの裾が、軽快に風を含んではためいた。
髪の先が頬に触れるのがくすぐったい。
一つ目の単語帳がそろそろ終わりに差し掛かったとき、バス停とは反対の林の方から誰かが近付いてくるのが見えた。
時計を見るとついてから十分ほどか経っていて、保護者がそろそろ集まる時刻となっていた。
かっちりスーツを着たビジネスマン風の男性が、私の隣で立ち止まる。
「妹さんのお迎えかな?」
穏やかな口調で尋ねられ、そちらを向くと端正な顔立ちが私に微笑んでいた。
いかにも好青年。
やけに白い並びの良い歯が、強く印象に残る。
爽やかな風かよく似合う男性の黒髪はさらさらで、天使の輪っかが浮かんでいる。
細身のメガネが知的に見えた。
「はい」
それだけ答えてまた単語帳へ目を移す。
車の音がしてそちらへ視線だけを飛ばすと、保護者らしい高級車が止まった。
授業が終わるまで後十五分近く。
二冊目に行こうかこのまま一冊目を繰り返そうか思案したとき、カチリと小さな音が聞こえた。
何かと思って顔を上げると、いつの間に近付いていたのか、ビジネスマン風の男性が至近距離まで近付いていた。

