けれど慣れればこちらの方が過ごしやすくなっているのも確か。
誰からも干渉されず、一定距離以上入らせない。
それが、今の私にとって一番居心地がよかった。
ただただ真面目に、親に嫌な思いをさせないように、比較させないように、それだけに努めた二年間。
今も継続中。
というわけで、壱矢に対しても好感を持っていない。
妹の愛羅に対しても妹という感覚はない。
二つ上の高校三年生の他人、一個下の校一の他人。
そんなところだった。
なのに、なんなんだ。
いつも、私の一人の時間を邪魔するこいつは。
「いつも美味しい、壱の作るご飯は」
「ありがとうございます」
目は合わさず答えるだけ。
愛想悪くしているのではなく、いつのまにこうなってしまっていた。
微笑むことがどんな行為だったのか、この家族の前ではそれすら思い出せない。
壱矢がとっかかりや家族としての何かを求めて、あえて会話を振ってくれているのは分かる。
気づかいないほど人の感情が分からないわけではない。
壱矢の心遣いを無下にして、若干胸の中で燻るものもある。
けれど、自分でもどう人と接してきていたのか、おぼろげで掴めなくなっていた。
「いつまでも敬語?俺ら家族だろ」
「ごちそうさまでした」
食器を持ってシンクへ向かう。
いつもより勢いをつけて水を出し、手早く食器を洗って乾燥機へ並べた。
使い慣れてしまったキッチン。
馴染めないのに、馴染めている部分がこの家の中に溢れている矛盾に胸焼けがする。
何が家族だ。
誰からも干渉されず、一定距離以上入らせない。
それが、今の私にとって一番居心地がよかった。
ただただ真面目に、親に嫌な思いをさせないように、比較させないように、それだけに努めた二年間。
今も継続中。
というわけで、壱矢に対しても好感を持っていない。
妹の愛羅に対しても妹という感覚はない。
二つ上の高校三年生の他人、一個下の校一の他人。
そんなところだった。
なのに、なんなんだ。
いつも、私の一人の時間を邪魔するこいつは。
「いつも美味しい、壱の作るご飯は」
「ありがとうございます」
目は合わさず答えるだけ。
愛想悪くしているのではなく、いつのまにこうなってしまっていた。
微笑むことがどんな行為だったのか、この家族の前ではそれすら思い出せない。
壱矢がとっかかりや家族としての何かを求めて、あえて会話を振ってくれているのは分かる。
気づかいないほど人の感情が分からないわけではない。
壱矢の心遣いを無下にして、若干胸の中で燻るものもある。
けれど、自分でもどう人と接してきていたのか、おぼろげで掴めなくなっていた。
「いつまでも敬語?俺ら家族だろ」
「ごちそうさまでした」
食器を持ってシンクへ向かう。
いつもより勢いをつけて水を出し、手早く食器を洗って乾燥機へ並べた。
使い慣れてしまったキッチン。
馴染めないのに、馴染めている部分がこの家の中に溢れている矛盾に胸焼けがする。
何が家族だ。

