母が今何より優先したいのは、奥津家の自分に対する評価と立ち位置だけ。
「でもサボるんじゃないし、お母さんから連絡入れれば大丈夫でしょ?」
大丈夫でしょ?
なにが?
娘が学校早退することのなにが大丈夫なの??
「よくありませんから。俺が行きます。すみません、なんかややこしくしてしまって。壱、ほんといいから、な?行くなよ?」
私の方を見て、強い語気で訴えてくる。
でも私が行かなきゃ誰が行くのか。
壱矢の委員会が何かは知らないけれど、三年の委員会がちょっと抜けるで済むようなものではないことくらい知っている。
内申書に大きく関係する大事なもので、その実績を重ねることも馬鹿にならない。
「いいのいいの、壱矢君だって委員会あるんだし」
「美喜子さん───」
あ、だめだ。
母の立ち位置が変わってしまう。
壱矢の呆れたような声色がいたたまれない。
こんなことくらいで母の目指したいい母親ポジションが揺らいでしまったら、私の今までが無駄になってしまう。
「わかった、行く。ちょうど体育でサボりたかったし」
「壱、駄目だ」
「いえ、大丈夫です。私お迎え行きたいんです」
~します、より、~したい、の方が拒否できない。
人はしろと言われるよりお願いされることに弱い。
~したいんです、は、お願いに近い意味合いを持たせるため、この場合効果的に働く。
いわゆる、壱矢に対する私からの‘もう黙れ’、である。
「よかったぁ。ありがとね、壱。やっぱり私の娘だわ。お母さん連絡入れとくから」
固定電話に向かった母がるんるん気分で学校の番号を検索する。
「でもサボるんじゃないし、お母さんから連絡入れれば大丈夫でしょ?」
大丈夫でしょ?
なにが?
娘が学校早退することのなにが大丈夫なの??
「よくありませんから。俺が行きます。すみません、なんかややこしくしてしまって。壱、ほんといいから、な?行くなよ?」
私の方を見て、強い語気で訴えてくる。
でも私が行かなきゃ誰が行くのか。
壱矢の委員会が何かは知らないけれど、三年の委員会がちょっと抜けるで済むようなものではないことくらい知っている。
内申書に大きく関係する大事なもので、その実績を重ねることも馬鹿にならない。
「いいのいいの、壱矢君だって委員会あるんだし」
「美喜子さん───」
あ、だめだ。
母の立ち位置が変わってしまう。
壱矢の呆れたような声色がいたたまれない。
こんなことくらいで母の目指したいい母親ポジションが揺らいでしまったら、私の今までが無駄になってしまう。
「わかった、行く。ちょうど体育でサボりたかったし」
「壱、駄目だ」
「いえ、大丈夫です。私お迎え行きたいんです」
~します、より、~したい、の方が拒否できない。
人はしろと言われるよりお願いされることに弱い。
~したいんです、は、お願いに近い意味合いを持たせるため、この場合効果的に働く。
いわゆる、壱矢に対する私からの‘もう黙れ’、である。
「よかったぁ。ありがとね、壱。やっぱり私の娘だわ。お母さん連絡入れとくから」
固定電話に向かった母がるんるん気分で学校の番号を検索する。

