けれど、中学二年の複雑な思春期だ。
とても穏やかではいられなかった。
壱は愛想悪いのに愛羅ちゃんはほんとに可愛らしい、どうしたらこんな可愛く育つのかしら───うんたらかんたら。
壱矢君は壱と同じ漢字なのに壱とは大違いで、男の子なのに優しいしよく気がつくし、壱も見習って欲しい───なんたらかんたら。
壱も頑張って女らしくね、などなど。
事ある毎にそうやってすることなすこと比べられてきた。
確かに二人とも非の打ちようがないほどのルックスと内面で、美男美女である。
誉めたくなるのも当然だ。
だからといって母からは娘に向ける愛情を感じないわけでもない。
変わらず優しくしてくれている。
けれど、二人で暮らしてきたあの頃とは距離と温度が違ってしまっていた。
優先順位も。
今では母が、再婚前自分にどう笑いかけてくれていたか覚えていない。
母を喜ばせることより、失望させないように振る舞うことしかここしばらくはしていない。
だから必然と、どうしても、一人を選んでしまう。
比べられて、劣等感を抱くのはうんざりだから。
ぼろがでないように、二人と比べられないようになるべく家族との時間を最小限に押さえてきた。
朝食にしたってそうだ。
別に母がねぼすけなわけではない。
六時前には起きてきてきちんと家事を始める。
ただ私がみんなといるのが嫌と言う理由で、早起きしてこんな時間にご飯を食べているのだ。
そして食事も早食いで済ませ、団らんタイムには当然入っていけないため受験に備えるという名目で勉強ばかりしていた。
お陰で成績は延び、県内一の進学校特進クラスに入ることができた。
なんて皮肉だろうか。
そんな行動が、孤立を助長させたのはいうまでもない。
とても穏やかではいられなかった。
壱は愛想悪いのに愛羅ちゃんはほんとに可愛らしい、どうしたらこんな可愛く育つのかしら───うんたらかんたら。
壱矢君は壱と同じ漢字なのに壱とは大違いで、男の子なのに優しいしよく気がつくし、壱も見習って欲しい───なんたらかんたら。
壱も頑張って女らしくね、などなど。
事ある毎にそうやってすることなすこと比べられてきた。
確かに二人とも非の打ちようがないほどのルックスと内面で、美男美女である。
誉めたくなるのも当然だ。
だからといって母からは娘に向ける愛情を感じないわけでもない。
変わらず優しくしてくれている。
けれど、二人で暮らしてきたあの頃とは距離と温度が違ってしまっていた。
優先順位も。
今では母が、再婚前自分にどう笑いかけてくれていたか覚えていない。
母を喜ばせることより、失望させないように振る舞うことしかここしばらくはしていない。
だから必然と、どうしても、一人を選んでしまう。
比べられて、劣等感を抱くのはうんざりだから。
ぼろがでないように、二人と比べられないようになるべく家族との時間を最小限に押さえてきた。
朝食にしたってそうだ。
別に母がねぼすけなわけではない。
六時前には起きてきてきちんと家事を始める。
ただ私がみんなといるのが嫌と言う理由で、早起きしてこんな時間にご飯を食べているのだ。
そして食事も早食いで済ませ、団らんタイムには当然入っていけないため受験に備えるという名目で勉強ばかりしていた。
お陰で成績は延び、県内一の進学校特進クラスに入ることができた。
なんて皮肉だろうか。
そんな行動が、孤立を助長させたのはいうまでもない。

