まだなにか言いたそうに私を見ていた母の後ろから、恭吾さんが現れたのでそちらへ視線を飛ばした。
「壱ちゃんも乗っていくかい?」
「大丈夫です。歩いて帰ります」
この後愛羅を迎に行くはずだから、同行は避けた方がいい。
「じゃあデートでもして帰ろうかな」
冗談を飛ばす恭吾さんも、母同様に修復しようと一生懸命になっていた。
今さら家に残ってもらうため等とは言わない。
そうではなく、これは私の推測だけと、いつか私が容易く家に戻れるようにしてくれているのだと思う。
言葉と振る舞いの裏に見え隠れする謝罪が、今の私には少し痛い。
「もう泣かさないでくんない?」
目頭が熱くなり、込み上げるものを飲み込むため俯いた私の頭に大きな手が乗せられて、そのまま引き寄せられた。
責めるでもなく詰るでもないその声の持ち主は壱矢。
付き合ってることを認めてからは、隠すこともせずあからさまなくらいに私との距離が近い。
もう見慣れたのか、最初こそ距離感への対応と反応にどきまぎしていた二人だったが、今では顔をしかめてばつが悪い顔をするくらい。
親として、子供たちの恋愛を目の当たりにさせられたという意味でのばつの悪さだ。
愛羅に関しては未だに突っ掛かってきては、私と壱矢の間に割って入ろうと体をねじ込ませてくる。
壱矢にあしらわれて撃沈がルーティーンだ。
「壱矢の過保護っぷりは俺譲りかもしれないな」
「種類が違う」
愛羅に対する父親のそれと同類にされたのが不服だった壱矢の拒絶はハンパない。
一緒にするなと牽制する。
「壱ちゃんも乗っていくかい?」
「大丈夫です。歩いて帰ります」
この後愛羅を迎に行くはずだから、同行は避けた方がいい。
「じゃあデートでもして帰ろうかな」
冗談を飛ばす恭吾さんも、母同様に修復しようと一生懸命になっていた。
今さら家に残ってもらうため等とは言わない。
そうではなく、これは私の推測だけと、いつか私が容易く家に戻れるようにしてくれているのだと思う。
言葉と振る舞いの裏に見え隠れする謝罪が、今の私には少し痛い。
「もう泣かさないでくんない?」
目頭が熱くなり、込み上げるものを飲み込むため俯いた私の頭に大きな手が乗せられて、そのまま引き寄せられた。
責めるでもなく詰るでもないその声の持ち主は壱矢。
付き合ってることを認めてからは、隠すこともせずあからさまなくらいに私との距離が近い。
もう見慣れたのか、最初こそ距離感への対応と反応にどきまぎしていた二人だったが、今では顔をしかめてばつが悪い顔をするくらい。
親として、子供たちの恋愛を目の当たりにさせられたという意味でのばつの悪さだ。
愛羅に関しては未だに突っ掛かってきては、私と壱矢の間に割って入ろうと体をねじ込ませてくる。
壱矢にあしらわれて撃沈がルーティーンだ。
「壱矢の過保護っぷりは俺譲りかもしれないな」
「種類が違う」
愛羅に対する父親のそれと同類にされたのが不服だった壱矢の拒絶はハンパない。
一緒にするなと牽制する。

