「俺らに別れろっていうなら、そっちにもしてもらうよ?好きな女と倫理やら道義的な理由だけで別れられんの?俺らにおんなじこと言ってるって分かってる?」
「大人は、子供の生活を守る責任があるんだ。好きだのなんだのだけで甘いこと言ってるお前らに合わせるわけにいかない。結婚するってそういうことなんだよ、壱矢」
「それでも考えが及ばなかったことに違いない。子供だから二人の結婚に口出せないだけ。二人が俺らとは違う衝動と感情で結婚したなら俺の意見は通用しねぇよ。でも違うだろ?俺とおんなじような恋愛感情を喜美子さんに抱いて、喜美子さんが欲しかったんだろ?年頃の男と女を同じ家に住まわせる危険を省みれないほど二人でいることしか考えられなかったんだろ?俺らとどう違うんだよ」
違わない。
結婚後の責任は副産物だ。
そこに至る経緯はおなじなのに、どうしてそこに線引きしようとするのだろう。
もし私や壱矢と似た恋愛感情から始まらなかった結婚だとしたら、私は断固拒否していただろう。
どうして認めないんだろう。
恋をしたから離したくなかった気持ちは、子供が抱くそれと酷似していることを。
「さっきから言ってるだろ。大人と子供じゃ支えるものが違うんだ。一時の感情だけでものを言ってられるほど、甘くないんだ」
「俺らから見たら、そっちも充分一時の感情だけど?だから離婚してんだろ?一時の感情だったから」
「そうじゃない。お前はどうしてそう歪曲するんだ」
「歪曲じゃありません。私から見ても、大人の結婚を視野に入れた付き合いの最初と最後は私たちと同じ恋愛感情じゃないですか?先輩が訊きたいのは大人の責任や結婚観ではなく、始まりです。うちの母に恋をしたから欲しがったんですよね?私と先輩の何がどう違うんですか?」
私たちが訊いているのはそれだけ。
下らない大人のルールや倫理観なんてどうでもいい。
「大人は、子供の生活を守る責任があるんだ。好きだのなんだのだけで甘いこと言ってるお前らに合わせるわけにいかない。結婚するってそういうことなんだよ、壱矢」
「それでも考えが及ばなかったことに違いない。子供だから二人の結婚に口出せないだけ。二人が俺らとは違う衝動と感情で結婚したなら俺の意見は通用しねぇよ。でも違うだろ?俺とおんなじような恋愛感情を喜美子さんに抱いて、喜美子さんが欲しかったんだろ?年頃の男と女を同じ家に住まわせる危険を省みれないほど二人でいることしか考えられなかったんだろ?俺らとどう違うんだよ」
違わない。
結婚後の責任は副産物だ。
そこに至る経緯はおなじなのに、どうしてそこに線引きしようとするのだろう。
もし私や壱矢と似た恋愛感情から始まらなかった結婚だとしたら、私は断固拒否していただろう。
どうして認めないんだろう。
恋をしたから離したくなかった気持ちは、子供が抱くそれと酷似していることを。
「さっきから言ってるだろ。大人と子供じゃ支えるものが違うんだ。一時の感情だけでものを言ってられるほど、甘くないんだ」
「俺らから見たら、そっちも充分一時の感情だけど?だから離婚してんだろ?一時の感情だったから」
「そうじゃない。お前はどうしてそう歪曲するんだ」
「歪曲じゃありません。私から見ても、大人の結婚を視野に入れた付き合いの最初と最後は私たちと同じ恋愛感情じゃないですか?先輩が訊きたいのは大人の責任や結婚観ではなく、始まりです。うちの母に恋をしたから欲しがったんですよね?私と先輩の何がどう違うんですか?」
私たちが訊いているのはそれだけ。
下らない大人のルールや倫理観なんてどうでもいい。

