私の手を改めて握り直した壱矢の手のひらからは、「心配ない」が伝わってくる。
「何だと?」
「二人には愛羅しか見えないのかな。俺らちゃんと見えてる?」
「何を言ってるんだお前はっ、ちゃんと見てきただろうっ。だから今だってこんなに心配してるんじゃないかっ。高校生にもなってなに甘えた反抗してるんだっ」
「別に甘えてないよ。ただ、やりたい放題やる妹に合わせられるのはもううんざりなんだよ。あいつが我慢して堪えたものなんていくつあるんだよ。新しい家買ってとかってそれ我慢したくらいだろ」
最後の言葉にびっくりだ。
まさか家までねだっていただなんて。
ねだればなんとかなる、本気で思っていたとは…。
「仕方がないだろう。母親がいなくなって寂しい思いに耐えてるんだ。それを埋めてやるのが親としての努めだし、お前だって兄貴なんだからそれくらいの事してやってもいいだろう」
追尾に絶句。
仕方ないがどこまで仕方ないで済まされると思っているのか。
値段に折り合いが着いていたら、家を買っていたかもしれない。
背筋が凍る。
哀れなものを見る目に変わった壱矢が、深いため息と一緒に首を横に振った。
「母親がいなくなったのは俺も一緒なんだけどね」
ここまで話をした中で、私と壱矢の言い分を理解する気があることは感じられない。
愛羅が傷付かぬよう、泣かないよう、それだけだ。
「何だと?」
「二人には愛羅しか見えないのかな。俺らちゃんと見えてる?」
「何を言ってるんだお前はっ、ちゃんと見てきただろうっ。だから今だってこんなに心配してるんじゃないかっ。高校生にもなってなに甘えた反抗してるんだっ」
「別に甘えてないよ。ただ、やりたい放題やる妹に合わせられるのはもううんざりなんだよ。あいつが我慢して堪えたものなんていくつあるんだよ。新しい家買ってとかってそれ我慢したくらいだろ」
最後の言葉にびっくりだ。
まさか家までねだっていただなんて。
ねだればなんとかなる、本気で思っていたとは…。
「仕方がないだろう。母親がいなくなって寂しい思いに耐えてるんだ。それを埋めてやるのが親としての努めだし、お前だって兄貴なんだからそれくらいの事してやってもいいだろう」
追尾に絶句。
仕方ないがどこまで仕方ないで済まされると思っているのか。
値段に折り合いが着いていたら、家を買っていたかもしれない。
背筋が凍る。
哀れなものを見る目に変わった壱矢が、深いため息と一緒に首を横に振った。
「母親がいなくなったのは俺も一緒なんだけどね」
ここまで話をした中で、私と壱矢の言い分を理解する気があることは感じられない。
愛羅が傷付かぬよう、泣かないよう、それだけだ。

