すこぶる居心地が悪い。
自分の名前と同じ漢字の一文字が、壱矢にも使われているからかなんなのか…。
別段話すことがない程度でしかない相手と二人きりになり、自分の作ったものを目の前で食べられるというのは、言い表しようのない落ち着きの無さを呼ぶ。

静かに一人でいたいときは特に。
別に話しかけられてうんざりすることもなく、なんなら全く会話がない状態でも、他の誰かがいるのといないのとではまとわりつく空気が違うのだ。

ゴールデンウィークが明け、学校が再開する月曜の早朝、ダイニングにはひたすら沈黙が流れていた。
壱矢とこうして二人で朝食を摂るのはこれが初めてではない。
初めてどころかしょっちゅうだ。

共通の会話がないというのは一番の原因かもしれない。
何せ家族になってまだ二年ほどなのだから、今まで他人として生きてきた異性とすぐに親しくなるなんて私には到底無理だった。
いや、二年もあればもっと親しくなるものなのか?
なんて、そんな状況じゃなかった。
そんな状況にさえ、なれなかった。
同じ屋根の下に住むという状況さえストレスなのに会話なんて…無理だった。。
異性としての意識ではなく。
アウェイというか、場違いさというか…。