壱矢の全部が見たい。
「知らないからな」
下唇を噛まれた時点で、何もかもが蕩けそうになってしまった。
今まで見たことのない壱矢。
今まで見せたことのない私。
お互いがお互いを暴露しあい、お互いがお互いの熱を分け与える。
こんなこと、自分がするなんて考えもしなかった。
縁がないと思っていた。
なのに、
なのに私は今、壱矢の体温と呼吸に包まれて安らぎを感じている。
このままずっとこうして、二人でいつまでも抱き合っていられたらどんなにいいだろうか。
壱矢が切ない声で私の名を呼び、
「壱しかいらない」
そう言ってまた深く口付ける。
「もう、先輩しか、いらない」
気付けば涙が頬を伝っていて、それを壱矢が舌先ですくいとる。
あんなに辛いことがあって、いくらでも泣けるタイミングがあったのに。
私が選んだのはこの瞬間だった。
壱矢と一つになれた今、ずっとこらえてきた涙がポロリポロリと流れ出す。
涙の理由が幸せであることを理解している壱矢は、理由など訊かずに私をあやしてくれた。
壱矢がいればそれでいい。
これからもずっとこうして、壱矢が私のそばにいてくれたらもうほかには何もいらないと思った。
・*:.。.・*:.。.・*:.。・*:.。.・*:.。.・*:.。
・*:.。.・*:.。.・*:.。・*:.。.・*:.。.・*:.。•*¨*•.¸¸☆*・゚
「先輩、絶対初めてじゃないですよね」
二人でくっついて横になりながら、私はふと思ったことを思わず口にしていた。
痛いと聞いていたものは何一つなかった。
そういうことのあとにする話、彼氏に対して言っていいことではないというのは分かっていたけれど、どうしても解せなかったのだ。
「知らないからな」
下唇を噛まれた時点で、何もかもが蕩けそうになってしまった。
今まで見たことのない壱矢。
今まで見せたことのない私。
お互いがお互いを暴露しあい、お互いがお互いの熱を分け与える。
こんなこと、自分がするなんて考えもしなかった。
縁がないと思っていた。
なのに、
なのに私は今、壱矢の体温と呼吸に包まれて安らぎを感じている。
このままずっとこうして、二人でいつまでも抱き合っていられたらどんなにいいだろうか。
壱矢が切ない声で私の名を呼び、
「壱しかいらない」
そう言ってまた深く口付ける。
「もう、先輩しか、いらない」
気付けば涙が頬を伝っていて、それを壱矢が舌先ですくいとる。
あんなに辛いことがあって、いくらでも泣けるタイミングがあったのに。
私が選んだのはこの瞬間だった。
壱矢と一つになれた今、ずっとこらえてきた涙がポロリポロリと流れ出す。
涙の理由が幸せであることを理解している壱矢は、理由など訊かずに私をあやしてくれた。
壱矢がいればそれでいい。
これからもずっとこうして、壱矢が私のそばにいてくれたらもうほかには何もいらないと思った。
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「先輩、絶対初めてじゃないですよね」
二人でくっついて横になりながら、私はふと思ったことを思わず口にしていた。
痛いと聞いていたものは何一つなかった。
そういうことのあとにする話、彼氏に対して言っていいことではないというのは分かっていたけれど、どうしても解せなかったのだ。

