好きとか愛とか

私は一人っ子だ。
妹なんていない。
勝手に家族を増やしたから、私が無理矢理姉の立場になっただけでそんなの認めてない。
私は違う。

 「………お姉ちゃんなんかじゃない」

もういい加減にして欲しい。
どうしていつも、いつも…。

 「え?なに?なにか言った?」

唸り声にほぼ違い叫びは、母には届いていなかった。
馬鹿らしい。
ほんとに馬鹿らしい。
なんでこんなに、私の声が届かないのだろう。
昔はちゃんと聞いてくれたのに。
いや、どうだっただろう。
母が私のワガママを聞いてくれた記憶は辿れそうなのに、思い出としては残っていない。
最後に私を優先してくれた日がいつだったか、もう思い出せなかった。

 「分かった。あげる。もう着ない。いらない」

やけくそになっているのが自分で分かって、腹が立つより惨めな思いで一杯だった。
即座に母が窘めに入った。

 「壱、そんな言い方しないの。どうしたのよ、浴衣くらいで」

 「そうだね。浴衣くらいでね、馬鹿らしい。ごめんね愛羅ちゃん。あげる」

 「やったぁぁっ!やっぱりいっちゃん優しいぃぃぃ!!絶対譲ってくれると思ったぁ!」

満面の笑みを咲かせた愛羅が、私に抱きついてくる。
この重い嫌な空気が読めないのだろうか。
幸せな娘だ、と、心底呆れてしまう。