「私が憧れてる先輩っ」
「どの人?」
指された方は普通科がある棟の植え込み。
しかしたくさんの人だかりが見え、誰が誰か選別つかない。
それだけではなく最近視力が落ちてきたため、離れたところにいる人の顔をうまく見分けることも難しくなっていた。
鞄からメガネを取り出して装着する。
「あの人あの人っ、奥津先輩っ!」
安倍さんが興奮気味に指を指したのは、まさかの壱矢。
ゾッとして、血の気が下がった。
「かっこいいよねぇ…背も高いし顔もいいし頭もいいし…はぁぁ、いいなぁ、あんな人の隣歩けるなんてどんな気持ちだろう」
腐った気持ちだよ?
今の私みたいな。
まぁ、私と安倍さんとじゃ状況が違うんだけど。
それに、こんなこと口が裂けても言えない。
壱矢と義理の家族だなんて、一緒に住んでるなんて、何がなんでも知られないようにしたい。
モテモテの壱矢なんかと一緒に住んでいると知られれば、とんだ騒ぎになってしまうし色眼鏡で見てくるやつも出てくるだろう。
なので、この学校では教師以外には誰にも言っていないし、知っている全員には口止めしている。
思春期の男女が義理の兄妹とはいえ一緒に住んでいるなど響きがよくないので、その辺は周りの大人も壱矢も理解してくれた。
今は誰にも知られてはいない。
永遠に知られなくていい。
とはいえ、義理の兄妹やら家族やらそんなものがなかったら、普通にフィルター抜きで壱矢をかっこいいとは思っただろう。
少女漫画にでも出てきそうなタイプの壱矢は、見た目は完璧だ。
背も高く、広い肩幅に守られたいとかパラレルワールドの私は思っただろう。
安倍さんのように、とろんとした顔をしていたかもしれない。
壱矢を見る安倍さんは、骨抜きも同然の顔でため息をついている。
「あぁいうのがタイプなんだね」
「うぅん、違うの。センパイは憧れで、実は別に好きな人がいて…」
どゆこと?
「どの人?」
指された方は普通科がある棟の植え込み。
しかしたくさんの人だかりが見え、誰が誰か選別つかない。
それだけではなく最近視力が落ちてきたため、離れたところにいる人の顔をうまく見分けることも難しくなっていた。
鞄からメガネを取り出して装着する。
「あの人あの人っ、奥津先輩っ!」
安倍さんが興奮気味に指を指したのは、まさかの壱矢。
ゾッとして、血の気が下がった。
「かっこいいよねぇ…背も高いし顔もいいし頭もいいし…はぁぁ、いいなぁ、あんな人の隣歩けるなんてどんな気持ちだろう」
腐った気持ちだよ?
今の私みたいな。
まぁ、私と安倍さんとじゃ状況が違うんだけど。
それに、こんなこと口が裂けても言えない。
壱矢と義理の家族だなんて、一緒に住んでるなんて、何がなんでも知られないようにしたい。
モテモテの壱矢なんかと一緒に住んでいると知られれば、とんだ騒ぎになってしまうし色眼鏡で見てくるやつも出てくるだろう。
なので、この学校では教師以外には誰にも言っていないし、知っている全員には口止めしている。
思春期の男女が義理の兄妹とはいえ一緒に住んでいるなど響きがよくないので、その辺は周りの大人も壱矢も理解してくれた。
今は誰にも知られてはいない。
永遠に知られなくていい。
とはいえ、義理の兄妹やら家族やらそんなものがなかったら、普通にフィルター抜きで壱矢をかっこいいとは思っただろう。
少女漫画にでも出てきそうなタイプの壱矢は、見た目は完璧だ。
背も高く、広い肩幅に守られたいとかパラレルワールドの私は思っただろう。
安倍さんのように、とろんとした顔をしていたかもしれない。
壱矢を見る安倍さんは、骨抜きも同然の顔でため息をついている。
「あぁいうのがタイプなんだね」
「うぅん、違うの。センパイは憧れで、実は別に好きな人がいて…」
どゆこと?

