私の手を取り、自分の方へ引き寄せた壱矢が、指定していた場所とは違うところへ座らせた。
誘導されたのは、横向きに寝た壱矢の、ちょうどお腹の辺り。
スプリングが沈んで、揺らいだ私の体を壱矢の腕が抱き止めた。
支えるためだとは分かっていても、こんな至近距離に免疫が薄い私はすぐに反応してしまう。
手が繋がったままの腕をお腹に回されて、そこで固定された。
「指先冷えてる」
私の指に自分の指を絡めて、親指の腹でさすられる。
そんな仕草が距離感を感じさせられて、やたらと落ち着かなくなってくる。
「洗い物をしたので」
それだけ答えるのが精一杯だった。
真後ろに壱矢の存在、横からは私を見てくる壱矢の視線が気になって、どこを向いても壱矢で身動きが取れない。
余裕の壱矢も、むかつく。
寝そべって、私の腰に腕を回して、シャツワンピースの腰ひもをいじっている余裕の壱矢が憎らしい。
私だけ意識して緊張しているのが、馬鹿馬鹿しくて恥ずかしくなってきた。
壱矢はいつも女の人との距離が近い。
こんなふうに自然に、女の他人に触れる日常が壱矢の普通なんだろうか。
この距離感は、誰にでもそうなんだろうか。
例えば家に遊びにきた女の人とも、こうやって距離を詰めるのだろうか。
それならそれで別に構わない。
構わないけれど…。
なんだろう、構わないなんて嘘に聞こえる。
こんなに近い距離、嫌だと思ってしまっている自分がいるのは分かるのに、それを認めたくない自分も同時に存在していた。
壱矢と関わるようになって、こんな説明のつかない気持ちや矛盾がどんどん増える。
どんどん増えて、見えてくるものもありすぎて、すごく、困る。
もう、壱矢と時間を共有するのが嫌じゃなくなったことを、あっさり認めている自分も困る。
誘導されたのは、横向きに寝た壱矢の、ちょうどお腹の辺り。
スプリングが沈んで、揺らいだ私の体を壱矢の腕が抱き止めた。
支えるためだとは分かっていても、こんな至近距離に免疫が薄い私はすぐに反応してしまう。
手が繋がったままの腕をお腹に回されて、そこで固定された。
「指先冷えてる」
私の指に自分の指を絡めて、親指の腹でさすられる。
そんな仕草が距離感を感じさせられて、やたらと落ち着かなくなってくる。
「洗い物をしたので」
それだけ答えるのが精一杯だった。
真後ろに壱矢の存在、横からは私を見てくる壱矢の視線が気になって、どこを向いても壱矢で身動きが取れない。
余裕の壱矢も、むかつく。
寝そべって、私の腰に腕を回して、シャツワンピースの腰ひもをいじっている余裕の壱矢が憎らしい。
私だけ意識して緊張しているのが、馬鹿馬鹿しくて恥ずかしくなってきた。
壱矢はいつも女の人との距離が近い。
こんなふうに自然に、女の他人に触れる日常が壱矢の普通なんだろうか。
この距離感は、誰にでもそうなんだろうか。
例えば家に遊びにきた女の人とも、こうやって距離を詰めるのだろうか。
それならそれで別に構わない。
構わないけれど…。
なんだろう、構わないなんて嘘に聞こえる。
こんなに近い距離、嫌だと思ってしまっている自分がいるのは分かるのに、それを認めたくない自分も同時に存在していた。
壱矢と関わるようになって、こんな説明のつかない気持ちや矛盾がどんどん増える。
どんどん増えて、見えてくるものもありすぎて、すごく、困る。
もう、壱矢と時間を共有するのが嫌じゃなくなったことを、あっさり認めている自分も困る。

