「わぁっ、おいしそぅ、愛羅もそれ食べたぁい」

土曜の昼、他の人より時間をずらせて遅めの昼食を摂ろうとした私の後ろから、手を伸ばした義理の妹がうどんの入ったどんぶりを指差した。
母親が用意していた昼食はトンカツだっのだが、最近胃の調子が悪いのでもう少し軽めのものをお願いしたところ、うどんが提案された。
ふわふわ卵のかきたまうどん。
昼食の時間はとうに過ぎ、なんならおやつの時間だということもあって家事を一休みしていた母親からは小言が出るかと思ったが、体調が悪いということでそれは免れた。 
私としてももっと早く食べるつもりが、期末試験も発表されていて、キリのいいところまでやっておきたかったのだ。
そして取り組んだ結果、おやつどきといった具合になってしまった。
ようやく一段落ついて昼食を摂ろうとしたところへ、小腹を空かせた義理の妹が登場した次第である。

 「愛羅、お前さっき食べたばっかだろ」

先に休憩に入っていた壱矢が、アイスティーを飲みながら妹を窘めた。

 「だってぇ、お腹空いちゃったんだもん」

義理の妹は私の後ろで唇を尖らせ、恨めしそうに熱々のかきたまうどんを見ている。
育ち盛りとはいえ、どれだけ食べるのだろうか。
私に用意された分のトンカツを見る限りでは、相当な量である。