「休憩中はこうやってあたしが柊さんのことをからかいに行きます」
「そんなことないよ。やめてよ。翠さんはいつも優しいです」
「また上手いことを。ね、柊さんは優男なので何でも言う事聞いてくれます。こないだなんてあっち向いてホイを休憩中ずっと一緒にしてくれましたー楽しかったですよね」
「翠さん凄い強かったね」
「柊さんが弱いんだよ」
暖かな日差しの中、制服の衣装の上から黒のダウンコートを羽織った美男美女が笑って話している。それだけで撮れ高は良し、だ。
翠はカメラを向けたまま、愛嬌を振りまく。
その奥で微笑みながらも少し眠たそうな美聖は、カメラから視線を外し、現場を眺める。
美聖の視線の変化に気が付き、翠が「柊さーん」と呼ぶ。
彼は寒そうに首を竦めつつ「ん?」と翠へと視線を戻す。