撮影のあと、美聖はラジオ番組の出演があった為、家に帰宅したのは深夜になってしまった。
「ただいまー…」
もう既に息吹は寝ていると思ったが、玄関を開けると電気はついていた。
リビングからテレビの音がする。ただ、いつもの「おかえり」と玄関までやってくる息吹はいない。
寝落ちしてるのかな、と美聖は先に諸々を済ませてから最後にリビングに行く。
と、息吹はソファーの上でクッションを抱きしめたままテレビを観ていた。
「息吹さん?」
「……」
美聖が息吹の正面に回って顔を覗き込もうとすれば、ふい、と逸らされる。その態度に美聖の心が崩れ落ちる。