クリストファーは、自分を責めた。

 父親に支配され、自分を救ってくれた姉がこんなことになっているのにも気づかず、姉の言葉を鵜呑みにしていた愚かな己が憎らしくて仕方がなかった。

 また、姉が産んだ赤子という理由で連れ帰ったものの、クリストファーは、憎悪の対象である侯爵の血を引いた私を快く思ってはいなかった。

 その後、最愛の姉の死によって一時心に隙ができてしまったクリストファーは、彼を付け狙っていた悪魔による精神への侵入をゆるしてしまうのである。

 悪魔の介入で徐々に判断力を奪われ、最終的には弱みに付け込まれて契約を交わし、正常ではなくなっていく。
 精神は暴走して引き返すこともできず、クリストファーは破滅の一途を辿るのだった。


 以上、クリストファーもとい、お父様が私を遠ざけている理由は終わり。


 それと、前世の記憶が蘇る前の私は、クリストファーが義父だとは知らなかったようである。
 そのため、私の中のクリストファーの認識は一番に「お父様」になっていて、ちょっとややこしい。

 記憶を思い出した今の私にとっては、お父様というより、やっぱり義父なんだよね。意味合いとしてはほとんど変わらないし、些細な違いなんだけど。

 だけどそれって、アリアがクリストファーをなんの疑いもなく「お父様」だと思っていたってことでもあるから。

 わけもわからず関心をもってもらえなかった心情を考えると、なんだか少し、切なくなった。