「お父様、昨日は寝ちゃってごめんね。今日は全然眠くないから、お話しようね」

 初めの頃は一週間おき、慣れてくると三日おきになっていったクリストファーへの面会。
 昨日の今日でまたクリストファーに会うのは、今回が初めてのことだった。

「あのね、お父様――」
「クリストファー、元気にしているか!」

 昨日の絵、見てくれたんだよね? ……と聞こうとしたところで、執務室に乱入者が現れる。
 薄紺色の癖が強い髪と、緑色のほんのりタレ目をカッと開いた大人の男の人だった。

「ロザリン侯!?」

 ジェイドが驚きの声と共にその名を口にする。

「ジェイド、久しいな。相変わらずクリストファーにこき使われているのか? さて、その当人は……」

 彼は溌剌とした雰囲気を持ち合わせる端正な顔に笑みを浮かべ、全く微動だにしないクリストファーに歩み寄っていく。