なんとか書庫室にたどり着いた。しかし、ここで問題が発生した。

(届かない……!)

 私の身長では、扉の取っ手に触ることすらできない。

 部屋を出るときはベッドの昇り降りに使っている踏み台を利用したものの、ここには代用できるものがなかった。

(んんんん、もう、ちょっと、なのに)

 足首が攣りそうになりながら背伸びをする。

 そして、必死になって腕を大きくあげ、扉に全体重をかけた時だった。
 
「……わあっ!?」

 突然扉が開いて、私の体はゴロンと前に倒れ込んだ。

 冷たい床に叩きつけられると思いきや、いつまで経っても痛みはなく、むしろ柔らかい。

 なんだろうと両手を動かして感触を確かめる。柔らかいような固いような。これは、もしかして。

「……あの」

 ビクッと跳ねるような震えが手に伝わったとき、頭の上から声が聞こえた。

 私が顔を上げた瞬間、淡い明かりが辺りを照らした。