「強いんだな…。まだエイラのことはろくに知らないけど、名前の通り、雪みたいに儚げに見えるのに、凄まじい生命力を感じるよ。きっと、エイラの友達はみんな、勇気をもらえてるんだろうな」

「友達はね…いないの」

「え?」

意外な言葉が返ってきて、少し戸惑う。

「前は居たんだけどね。なんだか、常に周りに気を遣わせてるのが判るし、私だっていつもポジティブで居られるわけもなくて…。ある時期から、ハタチまで生きられないなら、悲しむ人は極力少ないに越したことはないと思って、誰とも親しく付き合うことをやめちゃった」

「…どこまでも優しいな」

「そんなことない。だけど、不思議だよね。ウツには、つい自分から話しかけちゃったんだから。しかも、あんなに鬱陶しそうにされたのに」

エイラはそう言って笑う。

「ごめん…。俺、感じ悪かったよな。エイラとは正反対だよ。俺なんて、自分本意でしか行動できてない、どうしようもないガキだから」

自分の問題の苛立ちから、初対面の時からエイラに冷たく接したことを、今は心底、悔やんでいる。