「だけど…それを失った今の俺は、もう何もない。空っぽだよ」

「そうは思わないよ。大事故とオーバードーズから助かったのも、絶対に何か意味がある筈だもの。ウツはそこで死んじゃいけなかったんだと思う」

憐れみや慰めの言葉なら、耳にタコが出来るほど言われてきたが、こんな風に言われたのは初めてだ。しかも、よく知らない相手に。

僕は基本的に、他人のことには興味のないタイプだ。

それなのに何故か、

「エイラは?どこか悪いのか?」

口が勝手に、そんなことを尋ねていた。