「さっきって…全然、人の気配しなかったけど?」

「私も、ついさっきまでは人の気配は感じなかったよ。でも、突然ため息が聞こえてきたから」

エイラは、またしても人のベッドに座っている。

「横になってなくていいのかよ?」

「寝てばかりはよくないから。時々は体を起こさないとね」

だったら自分のベッドに座っていればいいだろ…と思いながらも、エイラのキャラは鬱陶しさは多少あるものの、根っからの善人なのは判るので、あまり邪険にすることも出来ず…。

確かに、横になってばかりいたら、ただでさえ2度の入院で鈍ってしまった体がどんどん衰えてしまうだろうから、僕も上半身を起こす。

エイラはニコニコしながら、

「もう初対面じゃないから、色々話そうよ」

無邪気にそう言うけれど、僕に何があったかを話せば、エイラも他の人々と同じように、僕のことを憐れむのではないだろうか。

「そんなに人の話、聞きたいのか?」

「うん!」

「だったら、その前に一つだけ約束してくれ」

「何?」

「絶対に、俺を憐れんだり同情したりしないって」

「うん、わかった」

本当にわかってるのか…?とも思うが、

「後になって、聞かなきゃよかったとか言うなよ」

そして、僕はつまらない話を始めた。