小夜side

こっちにきた。逃げないと。来ないでと願いながら足を必死に動かす。
あれ?必死って必ず死ぬっていう言葉だけどなんでだろ?と考えているとまるで鬼の形相で迫ってくる人の手が伸びてきた。そして、私の背中に触れてしまう。


それが怖くてたまらなかった。「鬼ごっこ」という名前のただの遊びなはずなのに。

しかし中学1年生、これでもうしばらくは鬼ごっこをしなくて済む。そんな思いを抱え入学式へ向かっている。