「ち、千結!」
チャイムが鳴ると同時に私に声をかけたあおちゃん。
私はその呼びかけにスルーし、教室を出た。
「ち…千結……っ」
「……」
私とあおちゃんは絶賛喧嘩中です。
昨日、一緒に帰ってる際に少し揉めてしまってそこから私が一人で怒ってるだけ。
言わなかった私が悪い……。
それはわかってる。
わかってるけど……。
でもバカバカ言い過ぎだもん、あおちゃん!
今は…あおちゃんにちゃんと笑えるかわからない。
「はぁ……」
ため息が出てしまった……。
そして曲がり角から突然人が現れた。
「きゃっ?!」
私は気づかずにそのまま突っ込んでしまい、倒れそうになった。
その男の子はガシッと倒れないように支えてくれた。
「あ、すみません……」
私は急いでぺこりと頭を下げて謝った。
「ううん、俺が飛び出したのがいけないから。こちらこそごめんね」
私はその言葉を聞いてゆっくりと顔を上げた。
そして初めてちゃんと助けてくれた男の子の顔を見た。