だから他の男に笑いかけるなんて耐えられない。
『俺のこと…嫌い?』
『え?』
心が…胸が痛くて苦しくて、辛い。
『千結は俺から離れていくの?』
千結のことが好きだから、大好きだから…あの男が憎くてたまらない。
『俺から…離れていかないで、千結っ!』
涙が溢れた。
千結……行かないで。
いつまで経っても泣き止まない俺に千結は…。
『大丈夫だよ、あおちゃん!私はあおちゃんのそばにずっといるよ!だから…安心して!』
俺のことを抱きしめて、そう優しい声で言ってくれた。
その言葉に俺の胸のモヤは一気に消えた。
『私はあおちゃんのそばにずっといるよ!』
その言葉があれば俺は……。
『ありがと…千結』
頑張れるよ。
ーーそしてその日から一週間くらい過ぎた頃、事件が起こった。
あの事件以来、お互いの家への行き来がなくなった。
毎日行き来していたのが嘘みたいだった。
それから千結も少しだけ変わってしまった。