春、私は今日、高校生になります!
少しの緊張と期待を胸に私は家を出ようとした。
すると……。
「千結、気をつけてな!」
「うん、行ってきます!」
私が家を出ようとすると後ろからお父さんが声をかけた。
私はその言葉に笑って返した。
そして勢いよく1歩を踏み出した。
私はエレベーターの前を通り過ぎて横の階段の方から降りていく。
私は父と2人でこの5階建てのマンションで暮らしている。
リズム良く私は階段を駆け下りていく。
エレベーターはある。
けど私は体を動かすのが好きだから階段をよく使っている。
じっとしているのができない性格でもあるからかエレベーターを使うことは少ない。
階段から地上へとたどり着くと私は足をとめずに走る。
私は生まれ育ったこの街が私は好きだ。
幼い頃に母が亡くなり、父は男手ひとつで私を育ててくれた。
どんなに仕事が辛くても苦しくても私にそんな姿を一切見せずに毎日笑って私のことを見てくれていた。