付き合ってからも賢人はまめに連絡をくれた。
部活の練習で忙しそうにしていたけど、空き時間には必ずメッセージを送ってくれたから寂しさを感じることはなかった。
大好きな人と念願の恋人同士になれた私は毎日ウキウキと気持ちを高ぶらせてとにかく幸せだった。
三花には夏祭りの翌日に直接会って、改めて賢人と付き合ったという報告をした。
自分のことのように喜んでくれた三花。
『でも、九条だけじゃなくてあたしとも遊んでね?』
『当たり前じゃん!』
ちょっとヤキモチを妬いたように唇を尖らせる三花を見て大笑いした。
高2の夏休みを私は大いに満喫した。
プールに行ったり、カラオケに行ったり、映画に行ったり花火をしたり。
めんどくさいなと思いながらも稲田に必ず行くように念を押されていた大学のオープンキャンパスにも参加した。
親には毎日遊んでばかりでいつ勉強するのって怒られたけど、高2の夏は今しかない。
来年の夏は今みたいに遊んでなんていられないだろうし、今年だけは遊ばせてってお願いしたら渋々だけど許してくれた。
「はぁ~、なんかあっという間だったなぁ」
夏休み最終日の夜、私はスマホ片手にゴロンっとベッドに横になって見たくもない動画を流し見する。
花火大会の後、何回か賢人と会って一緒にご飯を食べた。
夏休みの間、どこかへ遊びに行きたいねって話はしてたけど賢人の練習が忙しそうで計画は白紙のままだった。
本当はもっとたくさん会いたかったけど、きっとそれは私のワガママだ。
「会いたいなぁ……」
呟いた瞬間、画面が切り替わった。ディスプレイには♡賢人♡と表示されている。
私は大急ぎでスマホを耳に当てた。
「賢人?どうしたの?」
『愛依、今家?』
「家だよ!!賢人は部活終わったの?」
『そう。でさ、ちょっと会いたくて来ちゃったんだよね』
「来ちゃったってどこに?」
尋ねたタイミングで家の外でバイク音がした。
ブロロロッっという音を立てて通り過ぎていくバイクのエンジン音が電話越しに聞こえた。
「え……、賢人今どこにいるの?」
『愛依の家の前』
「え!嘘でしょ?」
『ホントだって』
私の部屋は道路に面した南側にある。弾かれたようにベッドから飛び降りてカーテンを開けてベランダに飛び出す。
家の前には賢人の姿があった。
『よっ。元気だった?』
賢人は私の姿に気付いて右手を持ち上げた。
「ま、待って!超ビックリなんだけど!」
『ははっ、サプライズ成功』
「ていうか、今降りていくからそこで待ってて!!」
ケラケラ笑う賢人を慌てて呼び止める。
『いいって。顔見れただけで十分だから』
「ダメだよ。私が十分じゃないもん」
待ってよ。帰らないでよ。会いたいって願ってたら賢人が来てくれた。
ちょっと顔を見るだけなんてそんなの嫌。
『でも夜遅いし』
「平気!うちって門限とかもないしそういうのには意外と寛大だから!」
一応門限は20時だし、特に寛大でもないけどそうでも言わないと賢人が帰ってしまう。
「そこで待っててね!!絶対だからね!!」
電話を切ると再び部屋に戻ってハッとする。
「ていうか、私……すっぴんじゃん……!?」
とっくにお風呂に入っちゃって今はダボッとしたTシャツに某スポーツメーカーのジャージというラフな格好だ。
だけど、今から着替えとメイクをしている余裕はない。
外はもう暗いし、髪の毛だけ軽く整えればなんとなかるだろう。
急いで髪を整えて鏡を覗き込む。
そこには信じられぐらい嬉しそうな自分の姿があって、妙にくすぐったい気持ちになった。
部活の練習で忙しそうにしていたけど、空き時間には必ずメッセージを送ってくれたから寂しさを感じることはなかった。
大好きな人と念願の恋人同士になれた私は毎日ウキウキと気持ちを高ぶらせてとにかく幸せだった。
三花には夏祭りの翌日に直接会って、改めて賢人と付き合ったという報告をした。
自分のことのように喜んでくれた三花。
『でも、九条だけじゃなくてあたしとも遊んでね?』
『当たり前じゃん!』
ちょっとヤキモチを妬いたように唇を尖らせる三花を見て大笑いした。
高2の夏休みを私は大いに満喫した。
プールに行ったり、カラオケに行ったり、映画に行ったり花火をしたり。
めんどくさいなと思いながらも稲田に必ず行くように念を押されていた大学のオープンキャンパスにも参加した。
親には毎日遊んでばかりでいつ勉強するのって怒られたけど、高2の夏は今しかない。
来年の夏は今みたいに遊んでなんていられないだろうし、今年だけは遊ばせてってお願いしたら渋々だけど許してくれた。
「はぁ~、なんかあっという間だったなぁ」
夏休み最終日の夜、私はスマホ片手にゴロンっとベッドに横になって見たくもない動画を流し見する。
花火大会の後、何回か賢人と会って一緒にご飯を食べた。
夏休みの間、どこかへ遊びに行きたいねって話はしてたけど賢人の練習が忙しそうで計画は白紙のままだった。
本当はもっとたくさん会いたかったけど、きっとそれは私のワガママだ。
「会いたいなぁ……」
呟いた瞬間、画面が切り替わった。ディスプレイには♡賢人♡と表示されている。
私は大急ぎでスマホを耳に当てた。
「賢人?どうしたの?」
『愛依、今家?』
「家だよ!!賢人は部活終わったの?」
『そう。でさ、ちょっと会いたくて来ちゃったんだよね』
「来ちゃったってどこに?」
尋ねたタイミングで家の外でバイク音がした。
ブロロロッっという音を立てて通り過ぎていくバイクのエンジン音が電話越しに聞こえた。
「え……、賢人今どこにいるの?」
『愛依の家の前』
「え!嘘でしょ?」
『ホントだって』
私の部屋は道路に面した南側にある。弾かれたようにベッドから飛び降りてカーテンを開けてベランダに飛び出す。
家の前には賢人の姿があった。
『よっ。元気だった?』
賢人は私の姿に気付いて右手を持ち上げた。
「ま、待って!超ビックリなんだけど!」
『ははっ、サプライズ成功』
「ていうか、今降りていくからそこで待ってて!!」
ケラケラ笑う賢人を慌てて呼び止める。
『いいって。顔見れただけで十分だから』
「ダメだよ。私が十分じゃないもん」
待ってよ。帰らないでよ。会いたいって願ってたら賢人が来てくれた。
ちょっと顔を見るだけなんてそんなの嫌。
『でも夜遅いし』
「平気!うちって門限とかもないしそういうのには意外と寛大だから!」
一応門限は20時だし、特に寛大でもないけどそうでも言わないと賢人が帰ってしまう。
「そこで待っててね!!絶対だからね!!」
電話を切ると再び部屋に戻ってハッとする。
「ていうか、私……すっぴんじゃん……!?」
とっくにお風呂に入っちゃって今はダボッとしたTシャツに某スポーツメーカーのジャージというラフな格好だ。
だけど、今から着替えとメイクをしている余裕はない。
外はもう暗いし、髪の毛だけ軽く整えればなんとなかるだろう。
急いで髪を整えて鏡を覗き込む。
そこには信じられぐらい嬉しそうな自分の姿があって、妙にくすぐったい気持ちになった。