色褪せて、着色して。Ⅱ~悪役令嬢、再生物語~

 映画をまるまる一本、観終えたような気持ちだった。
 お腹いっぱいなの。
 考える処理が追いつかない。

 私と太陽様は別室に連れて行かれ、あらかじめ用意しておいたのであろう婚姻届にサインを書かされ、必要書類に延々とサインをしていく。
 隣に座っている太陽様は充血した目で黙々とサインをしていた。
 緑目の男が「ちょっと失礼」と言って部屋を出ていくと。
 部屋の空気が重たくなった。
「あの、俺。貴女(あなた)と結婚するにあたって言っておきたいことがあります」
「はい」
 真っ赤な目でぎょろりと太陽様はこっちを見る。
「俺、結婚するけど。好きな人がいるんです。だから、貴女との結婚は形式だけにしてもらいたい。結婚式だってあげない、新婚旅行だって行きたくないです」
「同感です。私もこの結婚は…アレですから」
 この半年間、好意的に見られていたはずなのに。
 こんな泣き顔で、拒絶されると少しだけ傷つく。
「生活に必要な費用は予め渡しておきます。俺は普段、騎士団の寮で生活するんで、貴女は好き勝手に過ごしてください」
「はい、そうさせていただきます」
 拒否することもなく、同意する。

 緑目の男とジャックさんが城下町にある屋敷を用意してくれて。
 私はそこで暮らすことになった。
「自分の国から侍女を一名連れてきたのですが、一緒に暮らしても大丈夫ですか」
「どうぞ、ご自由に」
 私と喋るのを面倒臭そうに太陽様が言った。
 こんな簡単に結婚って出来ちゃうものなんだなと思った。




つづく。