土曜日。
 礼拝堂でファミリーコンサートなるものが開催されて。
 ゲストで一曲弾いてほしいとの依頼を受けて弾きに行った。
 中流階級の人達はこういったコンサート好きが多い。
 ピアノ演奏は勿論、子供たちによる天使の歌声を聞くことが出来て満足するひとときだった。
 帰ろうとすると、やっぱり見覚えのある男性と目が合う。
「いやあ、先生の演奏素敵でしたねえ」
「…太陽様、来ていたのですか?」
 パーティーは終わって人々はゆっくりと出口へと向かっている。
 太陽様は相変わらず騎士団の制服を着ている。
 仕事中にコンサートに参加しているのは、いかがなものか…
「あの、太陽様」
「なんです?」
「お食事の件なのですが、今度の木曜日、レッスン後にお茶でもどうですか」
「えっ、マジっすか」
 目を見開いて驚く太陽様に、圧倒されながらも。
「太陽様のお家にあるお庭がとても素敵なので。そちらでイチゴ様と太陽様と3人でお茶でもしませんか?」
「家の庭っすか?」
「ええ。あ、もし無理でしたらだいじょ…」
「わかりました。今度の木曜日っすね。準備しなきゃ、善は急げだ。じゃ、先生。また今度!」
「え、…ああ」
 てっきり断られると思ったのに。
 目をキラキラさせながら太陽様は礼拝堂から出て行ってしまった。

 イチゴの家に行くたびに、庭が草ボーボーなのは気になっていた。
 あんな手入れのしていないところでお茶でもしたいと言ったら絶対に断ってくると思ったのに。
「ま、いいか」