ドアスコープを覗くことなく開けたドアの先には、



「優絆⋯どうしたの?」



黒のトップスとパンツにゴールドチェーンのアクセをまとった、私服姿の優絆が立っていた。


本当、なに着ても似合うわね。



「腹減った。なんか食わせて」



あれから自由にご飯を食べにくるようになった優絆。


心なしかウキウキしているように見えるのは、わたしの気のせい⋯?



「⋯⋯⋯」


「なにみてんだよ」



見つめられて気を悪くしたのか、優絆は綺麗な顔を顰めた。


あ、イケナイ⋯見つめすぎてしまったわ。



「見つめすぎてしまったわ。謝るから怒らないで」



わたしは眉を下げて優絆に謝った。



「⋯悪い。怒ってねえから気にすんな」



手で口元を覆うと、スッと顔を逸らされた。