「秋妃のかわいい嫉妬も見れたことだし、そろそろ帰るわ」
かわいい嫉妬ではなくて、醜い嫉妬の間違いでしょう。
玄関に向かう彼の背中を、一歩遅れて追いかけた。
靴を履く姿にとても寂しくなり、気づいたら、
「これからも、食べに来ない?」
突拍子もないことを口走っていた。
靴を履く手を止めて、下からわたしを見上げる優絆は、目を見開いていた。
「そんなことしたらお前の負担が増えるだろ」
「いいの。わたしもご飯ひとりだから」
ママとは、たまにしか食べれないもの。
だから、一緒に食べたいの。
「じゃあ、ん」
差し出された手にはお札が握られていた。
「⋯⋯? このお金はなに?」
「親父にもらったメシ代」
「え、気を遣わなくていいのよ」
なにか好きなものでも買えばいいの。
