となりに腰を下ろして、ポケットからスマホを取り出すと画面をタップしはじめた。
見た感じ、だれかに返信しているよう。
「䈎元さん、かわいかったわね」
嫉妬のせいか、かわいくない言葉が口から飛びだした。
本当かわいくないわね、わたしって。
悪態をつきたいわけではないし、返信相手が䈎元さんだって確信があるわけでもないのに⋯。
「そうか? 俺はなんとも思わねえけど」
視線をこちらによこすことなく、サラッと言って退けた。
「䈎元さんに数学教えるつもり、まったくなかったのね」
「わかったって言っただけで、教えるなんて言ってねえし」
⋯屁理屈男。
確かにその通りだけれど。
世の中わかったの一言で、了承したと思うものなのよ。
通常運転の優絆でなんだか安心したわ。
とりあえず䈎元さんに対して、好意はないみたいね。
