「もうっ! やめてって言ってるでしょう! このドSオトコ!!」
「お、いいなその響き。なんか───興奮しねえ?」
だ、ダメだわ⋯いまの優絆にはなに言ってもプラスに捉えられてしまうのね。
こうなったら、話題を変えちゃいましょ!
「いつまでもこんなことしていたら、ご飯が冷めてしまうわ」
ご飯という単語に、ピクッと反応を示した優絆。
「メシできてんの?」
わたしの上からスッと退いて、優しく抱き起してくれた。
こういうさりげない優しさが、わたしをかき乱してくる。
「そうよ! せっかく作りたてだったのに、冷めてしまったじゃない」
優絆から離れて、わたしはダイニングに向かった。
「最初にふっかけてきたのは秋妃だろ」
わたしに続いて、フッと笑いながら優絆もついてきた。
「それは──」
「人が寝ぼけてるときに鎖骨なんか触ってきやがって」
ツン、とわたしのおでこを長い指で突いてきた。
