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お会計を済ませ、夏葉と岩波くんと別れたわたし達は帰路につく。
「持つ。貸せ」
「あ、ありがとう」
買った食材の入った袋をヒョイっと持つと、スタスタ歩き出した。
どうしていつも先行ってしまうのよ!
その背中を追いかけ、隣に並んで歩く。
「懐かしいな。中学ん時は毎日こうやって一緒に帰ってたよな」
「そうね」
「楽しかったな、あんとき」
思い返しているのか、目を細め、とても柔らかな綺麗な表情をしていた。
トクンと胸が高鳴ったのがわかり、胸の前で手を握りしめた。
やっぱり、彼の隣は心地いい。
「こうしてまた秋妃と一緒に歩ける日が来るとは思わなかった」
嬉しそうに笑う優絆にドキッと胸が高鳴り、釘付けになってしまって、視線が逸らせなくなった。
なんて綺麗なの。
あまり見つめると胸が苦しくなってしまうわ。
「わたしも⋯」
わたしは平然を装いつつ、家に着くまでに胸の高鳴りがおさまるよう祈った。
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