「秋妃、あっち」
「え?」
意味を理解する前に、スタスタと歩いて行ってしまう。
ど、どこ行くのよ?
すぐに優絆を追いかけて行き着いた先は、
「それ買うの?」
「うん。俺の夜メシ」
インスタントラーメンが数多く並ぶコーナー。
いつもカップラーメン食べているのかしら。
「いまもお父さんの帰り、遅いの?」
「ああ、親父が遅えのはいつものことだけどな」
優絆の家は、早くにお母さんを亡くし父子家庭。
優絆を男手ひとつで育てている優絆のお父さんは、夜遅くまで仕事だから帰りが真夜中になることもある、と、以前優絆が言っていた。
相変わらず料理はしないのね。
それだと栄養が⋯と言うよりも、食生活が心配だわ。
「⋯なんだよ」
「え?」
「なんか言いたそうだけど」
