その声に引き寄せられるように近づいてみると、夏葉と岩波くんがお菓子コーナーにいた。
「草柳⋯それ食うの?」
「もち! これ欲しくてスーパーまで来たんだもーん」
夏葉の手にはさきほど話していた〝ほうじ茶バナナホイップ〟と書かれたお菓子のパッケージ。
若干引き気味の岩波くんだったけど、瞳を輝かせて喜ぶ夏葉を優しげな笑みを浮かべて見つめていた。
愛おしくてたまらない。
その姿はまるで、そう言っているようだった。
お菓子に夢中の夏葉は、そのことにまったく気づいていないけれど。
⋯もう少し岩波くんのこと見てあげてもいいのに、なんて思ったり。
