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「夕飯の買い物すんだろ? カゴ持っててやるからどんどん入れろ」
「い、いいわよ、悪いし⋯」
カート押せばすむ話であって。
「いいから入れろって。それとも俺が持つの嫌なのかよ?」
「そ、そんなことあるわけないでしょう?」
まったく、思い込みの激しい男ね。
「なら入れろよ」とカゴを持ってスタスタ歩いて行ってしまう。
⋯⋯優しいのかなんなのか分からないわね。
仕方なく優絆の後を追って、カゴに食材を入れていく。
優絆は黙ってわたしについて来てくれて、食材で重くなるカゴを文句も言わず持ち続けてくれている。
⋯⋯そんなに見られてると、食材をカゴに入れるだけで緊張しちゃうじゃない。
「えーっと、あとは⋯」
残りの食材を確認しようとした瞬間、
「あっ、あったあった! お目当てのお菓子〜!」
少し離れたところで、夏葉の明るい声が聞こえた。