「それでも親切心で教えてくれた草柳にその態度はねーだろ」
いまにもブチ切れそうな優絆に、内心ハラハラしていた。
殴り掛かったらどうしましょう。
「最上くんいいよ。人に感謝もできない人に費やす感情なんて、一切ないから」
感情の籠らない夏葉の言葉は、酷く冷めていた。
「⋯⋯⋯っ」
䈎元さんはカバンを乱暴につかむと、逃げるように教室から出て行った。
「あーあ、時間ムダにした! 秋妃、さっさと帰ろ〜!」
「そうね!」
わたしと夏葉がカバンを肩にかけ帰ろうとすると、
「悪かったな、草柳。時間ムダにさせて」
岩波くんが申し訳なさそうに謝った。
「別にあんたのせいじゃないでしょ」
夏葉は、なんであんたが謝るの?と言いたげな顔をしていた。
「草柳サンキューな。遅くなっちまったし、みんなで一緒に帰ろうぜ!」
「あ、でもわたし達買い物に⋯」
「スーパー行くんだろ? 一緒に行く」
「え⋯」
スーパー行くって、どうして知ってるの?