「早く教えて〜!」
机から教科書とノートをサッと取り出し、優絆に笑顔を向ける䈎元さん。
「なにアレ。ぶりっ子ぶりぶり全開ね」
「⋯⋯⋯なんなの? そのワードセンスのなさは」
ぶりっ子ぶりぶりってなに。
「あー言う女に関わるとロクなことないって昔から相場は決まってんの! さ、帰ろ!」
「早くスーパーに行かなきゃ!」とウキウキする夏葉に「うふふ」とふたたび笑みが溢れた。
本当、子供のように見えてかわいいわ。
よっぽどお菓子が欲しいのね。
「そうね。帰りましょうか」
夏葉と肩を並べて、教室を出ようと優絆たちの横を通り過ぎようとした瞬間、
「え〜、もう分かんないよ! もっと分かりやすく説明してよ!」
䈎元さんの甲高い声が響いた。
