⋯って、あまり嫌うのもよくないわよね。
わたしに嫌がらせしてくるわけではないもの。
なにしろ、優絆とわたしは付き合っていない。
事実なのに、ズキっと胸が痛む。
本当に、人生やり直したいわ。
内心ため息をつきながらふたりに目を向けると、優絆は鞄を持って帰ろうとしていた。
「あー、忘れてた」
綺麗なお顔から滲み出るなんとも言えない気怠げなオーラ。
発せられる声はとても低い。
「もうっ、酷いよお!」
「⋯⋯和紗、お前も残れよ」
「いやいや、なんで俺まで⋯」
「あ゙?」
自分で引き受けたにも関わらず、思いっきり顔を顰め、岩波くんに八つ当たりする優絆。
あろうことか、帰ろうとする岩波くんにガン飛ばす始末。
⋯不憫でならないわ。
