夏葉がゆいいつ好んでいるバタークッキーのお菓子のことね。
「ちなみに何味なの?」
夏葉がそんなに夢中になる味って⋯?
「名付けて! ほうじ茶バナナホイップ味!」
「⋯⋯⋯」
イエイ!と瞳を輝かせながら親指を立てる夏葉とは反対に、目が点になるわたし。
夏葉の味覚は少々⋯いいえ、かなり独特なのかもしれないわね。
このうえなく素直にそう思った。
だって〝ほうじ茶バナナホイップ〟って、未知の味で想像もつかないわ。
でも、そんな夏葉がかわいく見えて思わず「うふふ」と笑みが溢れた。
夏葉を見てほっこり和んでいた最中、
「ちょちょちょ、ちょっと最上くん! 私に数学教えてくれるんじゃないの?! なんで帰ろうとしてるの?!」
䈎元さんの声が聞こえてきて、一気に気分が急降下。
