矛盾した気持ちが、胸の中で交差するなか、そっと視線を向けた。
「⋯⋯悪い、今日予定ある」
静かに落とされた優絆の言葉に、ホッとした。
「え〜、そうなの? なんの予定?」
なんでお前にそんなこと教えなきゃなんねえんだよ。
と、言いたげな面倒くさそうに顔を顰めた。
理由を話す気は毛頭ないみたいだけど、䈎元さんも引く気はないようで⋯。
「おい最上〜! そんなこと言ってねえで教えてやれよ〜」
「そうだぞ! せっかく䈎元さんが教えてほしいって頼んでんだからさ!」
追い討ちをかけるように、まわりにいた人たちが、優絆を茶化しはじめた。
お願いだから、余計なこと言わないでほしいわ。
「⋯⋯ならお前らが教えてやればいいだろ」
「イヤイヤ、俺見ての通り勉強全部分かんねぇ」
「俺も。それに数学だけは絶対にムリ」
「⋯⋯なんだよそれ。なら口出してくんなよ」
呆れたような表情で、肩に巻きついている男子を鬱陶しそうにしている。
