夏葉ったら、ひとりだけ楽しそうにしちゃって。
「そんなことあるわけないでしょう? それよりも夏葉。岩波くんとはどうなの? 連絡まだ取ってる?」
無理矢理話題を変えたわたしは、岩波くんとの近況を聞いてみることにした。
二人を繋げてから、直接話しているところは未だ見たことがない。
夏葉もなにも言ってこないし。
「あー、まだ続いてるよ! 岩波くん意外と面白いんだよね〜」
「そう。楽しそうでよかったわ」
優しげな笑みを浮かべる夏葉に、思わずわたしも笑みが溢れた。
いい感じのようね。
岩波くん優しいから、もし夏葉が岩波くんを好きになっても安心だわ。
そんなことを思いながらほのぼのしていると、
「最上くん。数学⋯教えてくれるかな?」
䈎元さんの声が聞こえてきて、ピクッと耳が反応した。
イヤでもそこに意識が集中してしまう。
聞きたくないけれど聞きたい。
