「それじゃ!」と岩波くんが戻っていくのをしばらくじーっと見ていたとき、
「───なにしてんだよ」
背後から気配もなく耳元で落とされた声に驚いてしまい、肩がビクッと揺れた。
ぐっと距離をつめて口をひらくから、優絆の息が耳に触れてくる。
「ゆ、優絆?! 教室に戻ったんじゃ⋯」
優絆からとっさに距離をとり、振り返った。
「先に戻ってる」と言ってわたしより先に空き教室を後にした優絆。
教室にいるとばかり思っていたから、まさかの登場にビックリしてしまった。
優絆は、わたしが視線を向けていた方向を見て、こちらに視線を戻すと、
「和紗と浮気か」
まさかの爆弾発言投下。
う、浮気?!
「そんなことあるはずないでしょう」
突然なんてこと言うのよ。
「俺とチューして、あんな色気ダダ漏れさせてたクセに」
「だから違うって言ってるじゃない!」
必死に否定するも優絆は疑っているのか、ジト目でわたしを見続けてくる。
