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「秋妃ちゃん!」
優絆と別れて教室に戻る途中、岩波くんがわたしを呼び止めた。
「岩波くん、どうしたの?」
「いや、ひとつ聞きたいことあって」
いつもより真剣な表情に見えるのは気のせい───?
「優絆と空き教室でなにしてたの?」
⋯⋯絶対気のせいね。
瞬間、ニイッと悪戯っ子のような笑みを浮かべて聞いてくる岩波くんに、顔が引き攣り冷や汗がでてくる。
「どうして優絆と一緒だったと思うの?」
「だって優絆がそう言ってたからさ!」
優絆、岩波くんに話してたのね。
もう、なに考えてるのよ!
「と、とくになにもしてないわよ」
間違っても、キスしてたの、なんて言えないわ⋯。
「へ〜、しばらく二人っきりだったのに? あいつが秋妃ちゃんになにもしないなんてことなさそうだけど」
