けど、頑なにこっちを向こうとしない。
「ねえって───んっ」
袖を掴んでいた手を引っぱられ、触れるだけのキスが落とされた。
「キス、されたかったんだろ?」
「⋯⋯っ、!このあいだから盛りすぎよっ」
「お前見てると盛るんだよ。ほんとうはこのまま最後までって───イテっ!」
「そんなことイチイチ言わないで!」
ケラケラ笑いながら「叩くことねーだろ」と、わたしに叩かれた腕をさすっていた。
「どうして」
「ん?」
「どうしてわたしなのよ」
「⋯⋯⋯」
わたしの質問に答えることなく、また押し黙ってしまった。
けれど今度は逸らされることなく、澄んだ瞳はわたしを捕らえて離さない。
「優絆はモテるはずでしょう?」
