「ちがっ⋯んっ」
喋ろうとしてもキスで塞がれ、喋らせてくれない。
「気持ちい?もっと鳴いて、」
普段聞き慣れない低音ボイスに、全身がゾクゾクとする。
っ⋯ズルいわ、ほんとうに。
「もっと乱れろよ」
「っ、いや⋯」
こんなお昼から、学校の空き教室で元カレとこんなこと⋯なんだかイケナイことをしている気分だわ⋯っ。
優絆もわたしを離す気がないのか、さっきからずっとくっついている。
「涙目になるくらいよかった?」
人差し指で涙を拭ってくれるその手つきは、いつになく優しい。
「⋯⋯⋯」
否定も肯定もできずに、わたしは押し黙ることしかできない。
なによ、ひとり平然としちゃって。
「ハハ、顔真っ赤」
わたしが顔を赤く染めると、毎度のことながら優絆はケラケラと楽しそうに笑いだす。
その笑顔を見るとどうしようもなくドキドキして、苦しいくらいに鼓動が早くなる。
