『二人は顔が似ている』
中学時代、周囲からそう言葉をかけられることが多かった。
本当に顔立ちが似ていてそう言われていたのかは分からないのだけれど。
第一、これほどまでに容姿端麗な彼とは似ても似つかないと思う。
「また同じ学校なんて、キセキにちかいよね〜!」
机に肘をつき彼の席へ視線を向けたまま、なんとも不思議そうな表情を浮かべている夏葉。
「もしかして秋妃の事追いかけてきたんじゃない?」
「そんな事あるわけないでしょう。たまたまよ」
変なこと言わないでちょうだい。
「どうかな〜!」
その後もテンションが高く、わたしはしばらく夏葉にからかわれていた。
自ら彼の手を離したわたしには、そんな資格ないもの。
彼の瞳にわたしがうつることなんて、もう、ないのだから──⋯⋯。
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